【銘柄分析】電力自由化、SDGの波に乗れるか エネチェンジの事業環境と将来性について調査

エネチェンジ(4169)が業績の上方修正を出しました。これを受けて株価はPTSが7%近く上昇をしています。昨今の新興市場の値下がりを受けてエネチェンジも株価が下落傾向にありました。ここで、需給が反転するか今後に期待です。

ただし、投資をする上ではやはり調査というものが大事です。今回はエネチェンジのビジネス環境を分析し、今後順調に拡大が続くか分析をしてみました。今回は、インテリジェンスの世界で活用されているフレームワークを意識して外部環境を調査し今後の将来を分析しています。

エネチェンジとは

エネチェンジは、もともとは電力自由化を受けて電力プランの比較サイトから始まった会社です。エネチェンジ自体は自信をエネルギーテック、あるいはエネルギーデータ会社として名を売っています。

ビジネスモデルとしては、3つほどあります。

1つはエネチェンジの比較サイトにより消費者に電力プランを紹介し電力会社(電力小売り企業)から手数料をもらうもの。

2つ目はEMAPという電力マーケティングを支援するソフトウェアの提供です。いわゆるSaaSですね。他のSaaS企業と同じく、サブスクリプション契約で収益を上げていると考えられます。

3つ目に電力の需要家にコンサルがついて最適な電力プランを紹介するという、コンサルタント機能です。

以上の3つがビジネスモデルと考えられます。エネチェンジの提供するサービスは多岐に渡っていますがお金の流れ、消費者に提供する価値という面では上記の3つに集約されるでしょう。まず、どうしてこれらのビジネスモデルが成り立っているのか考えるにあたって外部環境を考えましょう。

STORY - ストーリー - | ENECHANGE株式会社
ENECHANGEのはじまりは、 英ケンブリッジの研究機関にあります。 最先端の研究に携わるデータ・AI・統計の専門家たちが世界中から集い、「エネルギーデータの活用によるエネルギーの未来」を語り明かした日々。 それが私たちの原点です。

電力自由化の流れ

電力はこれまで規制の対象としてビジネスチャンスのない分野でした。これには歴史的な経緯があります。そもそも戦前日本では電力会社というのは数十社以上もある自由市場であったのです。しかし、この自由化は熾烈な価格競争をもたらし、消費者も電力会社も得をしないという状況をもたらしかねないものだったのです。戦後になって、電気の需要が復活すると政府はなるべく規制を行って電力需要に耐えらえるよう電力会社を統制をするに至ったのです。政府としても電力会社が乱立するよりも供給の統制を行うには電力会社も少ないほうが好都合でした。

ただし、この構造は世界に比べて割高な電気料金を設定してしまうという状況を形作りました。そして1990年代、おりしも構造改革、自由化の流れが日本にもやってきて電力事業にも競争原理を働かそうという意識が芽生えます。その結果、事業会社から消費者まで電力プランの変更についての規制緩和が行われました。再生エネルギーの勃興もあり現在では日本にも多彩な電力会社が登場しているという流れにあります。

考:東北電気懇談会 電気事業の仕組みを読み解く

徐々に電力プランの変更が増えている

ここで問題となるのは、人々の電気料金に対するリテラシーです。賢い消費者であれば、最適な料金プランを選ぶことが可能でしょう。しかし、現実としては私も含めてですが電気料金の値段の変動にすら疎いのが実情です。

トレンド総研の実施したアンケートによるとアンケート回答者のほとんどが燃料費調整料金や、再エネ賦課金などの電気料金の調整弁の存在を知らないという状態です。このような状態では、消費者としては最適なプランを選ぶことが出来ないでしょうし、むやみにプランを変更しないほうが良いともいえるでしょう。

ただし、電力自由化については徐々に認知されて起きており、消費者側も電力プランの変更件数が徐々に増えてきている状況のようです。

「家庭の電気料金」に関する意識・実態調査(20~40代女性対象)
トレンド総研は、20~40代女性500名を対象に、「家庭の電気料金」に関する意識・実態調査をおこないました。調査結果サマリー「夏は、他の季節に比べて、電気料金が高くなりやすいと思う」と答えた女性は84%。
第8回 エネルギー自由化に関する生活者意識調査(20~69歳の男女対象)
電通においてエネルギー関連の研究開発を行う横断組織 チーム「DEMS(ディームス)」は、2014年12月から始めた「エネルギー自由化に関する生活者意識調査」の第8回を実施(2018年12月に全国20~69歳男女5,600名が対象)し、下記の

法人数は上昇途上、そしてSDGの高まり

日本で右肩上がりに上がっている数値。それは法人数です。起業のハードルが大分下がり、そして自分でビジネスをしていこうという機運の高まりから法人数は今後も上昇すると考えられます。どんなビジネス形態であれ、電気がなければ仕事はできません。そして、電気代は会社の経費です。利益を残そうとする法人であればなるべく安い電力プランにしたいというモチベーションはあるでしょう。

そして、ここにさらにSDGsの流行があります。世界レベルで持続的な成長を意識した活動が活発になりだしています。これは電力の発電側も需要家側も意識せざるを得ません。今後、発電方法も多様化するでしょうし需要家も安定的で安い電力をこれまで以上に選ばなければいけなくなります。

国内の法人数、前年より2万5000社増えて264万社に〜黒字企業の増加と赤字企業の減少〜 | 27,800円で一般社団法人設立【KiND行政書士法人:東京】全国対応!
SDGsってなんだろう?
日本ユニセフ協会が提供する子ども向けのSDGs学習サイト、SDGs CLUB(クラブ)。小中学生向けに、SDGsが何のために、どうやってできたかご紹介します。

石油やガスの価格の不安定化も今後、消費者に行動を促すかも

管理人は、再生エネルギーの電源としての安定差は存じ上げません。対して石油やガスが最近、高騰しているのは知っています。ここへきて再生エネルギーが電源の候補としてはあり得るのかもしれないという考えになりつつあります。

もちろん、化石燃料の方が電源としては気候に左右されないので安定感はあると考えられますが、人為的な政策によって価格が上下するというリスクもあるにはあるわけです。おまけに日本は資源の出ない国ですから、この人為的な政策による影響を飲まざるを得ません。今のうちに再生エネルギーを育てるのも悪くはないと考えられるのです。

電力の多様化はエネチェンジのビジネスチャンス

以上のトレンド、つまり電力の自由化、SDGsの高まり、再生エネルギーによる電源の多様化などは消費者に電力プランの変更を考えさせるには十分でしょう。

消費者はこのトレンドの中、ではどの電力会社が一番最適なのかという問題にぶつかります。価格の安くて安定的な電力が望ましいのですが、では一般消費者が石油の動きや天然ガスの動きを見越した最適な電力プランを選べるかというと、それは現実的ではないということです。

この問題に対応しようというのがエネチェンジの提供サービスです。まずは、電力の比較サイトを作り、そしてコンサルできる担当者をつけるなどして電力選びのサポートに徹しています。外部環境からみると非常においしいポジションにいるなと考えられます。

管理人は外部環境を見るとエネチェンジは魅力的に映る会社だと考えます。ただし、現在の株価そして経営上のリスクは妥当なのかどうかの分析をしなければ投資には時期尚早と考えます。次回は現在の株価はバリューエーション的にどうなのか分析していきたいと思います。

株価は低迷しているとはいえ現在の株価はPBR35倍という水準です。投資家はどのような考えをもってこの値段に収まっているのか考えなければいけないでしょう、

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