半導体不足が、続いています。中には自分の欲しい自動車や、ゲーム機器(switchとかPS5 が手に入らなくてもどかしくしている方もいらっしゃるかもしれません。一体、この半導体不足はどうして起こってしまったのでしょうか?管理人も気になってニュースサイトや大手新聞社のニュースをかき集めて調べてみました。その大きな要因は、1に半導体不足、2に米中の対立、3にコロナ対応にみる経済学的問題に行きつくことが分かってきました。
1そもそもが半導体不足だった
実は、半導体不足が顕著になる前から、半導体不足に陥ることが分かっています。どういうことかというと、新しい産業つまり5GやIOT、EVや新しいエネルギー発電など、どこもかしこも半導体が必要になる製品への転換が必要になる時代が到来していたのです。
5Gは通信機器なので予めわかっていたでしょう。EVについても自動車のエネルギー源が電気になるわけですから、電流を通したり通さなかったりする素材である半導体はこれまで以上に必要になるわけです。IOTに至ってはこれまで電気を通さなくても使用できていた物品にインターネット機能を持たせようというのですから、またそれも電流の出番になるわけです。
また、以下の記事でも執筆した通り日本でも洋上風力発電開発が進まれています。風力発電に使用される風車にも半導体が必要なわけです。
羅列してみると、もはや半導体を使わない物品というのは家具や文房具くらいじゃないかというレベルで半導体が我々の生活に進出してきていたのですね。
1-2半導体不足がさらに半導体不足を招いた
また、半導体不足がさらなる半導体不足を招いた事件が起こってしまいました。ちょっと何を言っているかわかりませんね。先日、日本の半導体メーカーであるルネサスで火災が起きたことはご存知でしょうか?そう、この事件は半導体不足に拍車をかけてしまった事件です。結果、車載するはずだった半導体を製造するための装置が燃え尽きてしまい半導体の物流が1か月ストップしてしまったという事件にまで発展しています。
世間では陰謀説がにぎわっていますが、管理人はそのような陰謀説には与せず、すごくシンプルな推測を立てています。
つまり、半導体不足を見込んで増産体制に入っていたルネサスで無理の来るような生産体制を行っていたからという理由です。事業会社は稼げるときに稼いでおかないと次の収穫期がいつになるかわかりません。特に半導体なんてこれまでは、繁忙期と閑散期の差が激しい業界でしたから、それはルネサスは頑張って受注に応えようとするはずです。
つまり、5GやIOTで需要旺盛になった半導体需要を満たさんとするためにルネサスは無理な増産体制で貴重な設備を火災で失ってしまい半導体不足に拍車をかけてしまったということです。
2コロナ対応を半導体企業が見誤った
上記のような将来の受注が見込まれる時期であったにもかかわらず、各企業は半導体製造を控えるようになりました。それは新型コロナで消費意欲が低調になってしまったからです。
これは、日本の経済統計にもはっきりと表れており企業はこの傾向から供給を控える状態に陥らざるを得なくなったでしょう。また、いかに半導体需要が見込まれる分野が出てきたとはいえ、正体不明の新型ウィルスで中国がロックダウンに追い込まれているのを目撃すれば製造は控えめにならざるを得ないではずです。
現在、日本の求人を見ればわかりますが半導体製造に携わる労働者を積極的に募集している状況です。現場ではそれだけひっ迫した状態なのです。
2-2 コロナ対応の失敗は合成の誤謬と位置付けられるかも
コロナとそれに伴う消費の低迷で企業は一斉に生産を渋ることになりました。しかし、これが現在の半導体不足に拍車をかけることとなったのですね。これは、経済学でも盛んに耳にする「合成の誤謬」に他ならないでしょう。合成の誤謬とはミクロなレベルで最適解を取った結果、全体としてみれば不都合を被ってしまう事象のことを指します。
日本の場合、1990年のバブル崩壊後のバランスシート不況がこれに当たると言われています。バランスシート不況は負債を減らさんとばかりに企業は借入をして出費を抑えるようになったため、その影響がもろに国全体で消費の低迷をもたらしてしまった不況です。
現在、この半導体需要を満たさないと企業は受注を取りこぼしてしまいかねないという状態です。もちろん、ルネサスのような火災をは避けてもらわなければなりませんが、消費者の需要があるうちに需要を満たしたいのはどこの企業も一緒かと思われます。
3.米中対立
中国の製造大国プロジェクト「中国製造2025」には半導体製造も含まれていました。中国は製造業大国への道を進めるプロジェクトを掲げたのです。
これに、反旗を翻したアメリカは中国に対していくつもの領域で関税を高めました。半導体の生産にもこの影はつきまとっています。中国としては半導体が大量に必要となる時期に、その供給がストップしては、その需要は高止まりするばかりで需要は落ち着かないでしょう。そして中国と取引のある半導体企業も結果的に中国の受注に応えざるを得ません。結果、中国以外の半導体需要がさらにおざなりになってしまったと考えます。
アメリカ、中国とも今後半導体の囲い込みに出ることが考えられます。その過程で経済安保という言葉も出てきたように世界の分業体制は崩れる傾向にあるのかもしれません。日本ではこの点、TSMCを誘致するなどして対応を図るのでしょう。
また、台湾海峡を挟んだ危機も将来の深刻な半導体不足の一因になりかねません。今や世界で製造される半導体の半分は台湾で作られています。もしも、台湾で有事が起こった際には、さらなる混乱が予想されます。
その他もろもろ
アメリカでは大寒波もあり半導体製造工場が閉鎖に追い込まれたりしていました。中国でも大規模停電があり工場がストップしていた時期がありました。そのほか、サプライチェーンの混乱なども半導体不足に拍車をかけています。これだけ、世界が混乱していると物品の受け渡しに相当な打撃を受けることになるのは今後の教訓とすべきでしょう。
まとめ
まとめてみると、2020年から2021年は大変な激動期であったと感じられます。アメリカと中国の対立が鮮明となり、その影は台湾海峡に深い闇を落としています。
そして、新型コロナ対応に起因する半導体不足など、上げればきりがありません。
わたしたち、一般消費者からみればゲームや自動車、家電など自由に購入できない日々がいましばらくは続きそうだというのを覚悟するしかないのでしょう。
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