投資家が意識しておくべき企業のライフスタイルとは



人間にも幼児期、思春期、青年期、老年期という具合にライフサイクルがあります。そして企業にも、ライフサイクルがあります。投資家はどのようなライフサイクルの企業に投資するのか予め考えておくことが必要です。一般的に公開された証券市場で取引するタイプの投資家はライフサイクルが成長に属している企業へ投資しなければ大きなリターンは得られません。

企業のライフサイクルとは



企業のライフサイクルとは、すなわち導入期、成長期、成熟期、そして衰退期です。導入期は創業期とも言え、しばらくビジネススタイルを確立する時期と言えます。そして確立されたのちに利益を出す傍ら、投資を繰り返してスケールを大きくします。これが成長期です。そして成熟期によって投資の回収を行うわけです。最後の衰退期は競合他社に淘汰される、あるいはビジネスが陳腐化することによって衰退していくフェーズと考えていいでしょう。

巷で推奨される業績指標は成熟期の判断指標

一般的な株式投資本で推奨されている投資というのは回収期の会社に投資すること念頭に書かれているのが大概です。例えば「オニールの成長株投資」という本ではEPS、つまり1株当たりの当期純利益が成長している株式を投資先として選ぶことを推奨されています。当期純利益は、損益計算書の最終利益項目ですので純粋に回収できた利益の指標ともいえるでしょう。EPSの向上というだけでは企業が成長期にあるのかというのは判断できないでしょう。

あのアマゾンは赤字上等でのし上がってきた

EPSを意識していてはスクリーニングに引っかからないはずの超巨大企業が存在します。それはアマゾンです。アマゾンは創業期からしばらく、ずっと赤字を抱え続けて成長した会社です。とはいうものの、アマゾンの赤字は意図された赤字と言っても良いでしょう。

赤字にはいい赤字と、悪い赤字がある

アマゾンは営業キャッシュフローベースでは多額の現金収入を得ており、また営業利益も黒字をたたき出しています。その傍ら、収入として得た利益を巨額の先行投資に充て続けていたのです。これはいわゆる業務拡大のための良い赤字と言われる部類の赤字です。それに対して、悪い赤字というのは、ビジネスが陳腐化あるいは競合に淘汰されてしまい結果的に赤字になるというものです。アマゾンは前者の赤字に該当するわけですね。

成熟期の投資に当てはめる評価尺度ではアマゾンを投資先として検討することはできない

先ほど述べたEPSや営業利益といった指標は成熟期の会社を評価する尺度としては優れていると思います。しかしアマゾンのようなインフラへの投資を惜しまない企業へ投資するきっかけを得ることはできないでしょう。目先の営業利益を判断基準としては、株価がある程度上昇しただけで、投資を回収してしまうかもしれません。当期純利益を判断基準としてしまってはそもそもアマゾンに投資するという発想にすらならないわけです。

既存ビジネスがうまく行きつつも、次世代に常に種まきしている企業への投資を

日本の会社はこの点、稼ぎっぱなしと言っても良い会社が多いでしょう。筆者の働いている日系の事業会社も利益に比して事業投資を行わない会社であるため、キャッシュを豚積みしている会社です。当然、株価も上がったり下がったり(いわゆる成長していないボックス相場を描いている)しておりそれ相応の評価を市場から得ています。真の成長企業というのは利益を出しつつも、その利益で再投資を繰り返す企業と言えるでしょう。決してゴザをかいて利益を得るだけがこの世に求められる会社ではないのです。

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