ROAとは、企業の株主資本と負債(つまり帳簿に計上されるすべての資産)に対してどれくらいの割合の利益を上げたかを示す指標です。
良く知られているROEは株主資本に対する利益の効率性ですが、借り入れをすれば恣意的に上げることができます。対してROAは恣意的な操作はできないシビアな指標です。
日本企業の一般的なROAは5%だとされており世界的に低い水準です。しかし生産性の高い企業があるのも事実なので、ROAの高い企業を2020年時点でランキングしてみました。ちなみに、調べてみると危ない企業もランクインしていることが判明。
1位 オウケイウェブ
オウケイウェブは日本発のQ&Aサイトを運営する会社です。Q&Aサイトが生産性が一位というのは意外ですが、実際のところオウケイウェブは投資有価証券(株式)を売却してその臨時収入によって利益が一時的に大きくなっています。
本業の生産性ではないというところに注意でしょう。この資金を何に使うかが今後、試されるところでしょう。
2位 倉元製作所
倉元製作所はガラス・土石を扱う企業です。
ROAが2位といっても、決算内容を見ると債務免除益(債権者が債務を放棄した際に出る利益)という特別利益が出たうえでの2位です。本業の生産性が優れているわけではないのは明らかでしょう。
そのうえ、倉元製作所は継続性の疑義の注記が付されるほどの経営難に陥っています。ROAなどの指標がいいからと言って決算の中身を確認しなければ知らず知らずのうちにこういう企業がポートフォリオの選択肢に入ってしまいます。
指標はあくまでもスクリーニングとして活用しましょう。ちなみに、一時期仕手株として取引されています。この銘柄で痛い目にあった読者もいらっしゃるかもしれません。
3位 IRジャパン
IRジャパンは株主・投資家等のマーケットに関する情報提供・戦略立案・実行支援を専門としたコンサルティングを提供する会社です。営業利益率が50%と非常に高い利益率を誇っております。本業から利益が出ているという視点からすれば、IRジャパンが実質的に生産性の高い会社1位といえるでしょう。今後、この効率性を維持するかあるいは稼いだ資金をどんなリソースへ投資するのか要チェックです。
4位 zozo
創業者が宇宙に行ったことで話題のZOZOが4位です。本業はファッション通販サイトです。総資産1200億円に対して当期純利益が300億円という効率性を誇ります。こちらも本業が業績の大部分を占めます。
以上、ROAは高くても継続企業の疑義という監査法人からの注意書きの掲載があるような会社もランクインしています。
ROA自体は便利な指標なのですがこれだけでは会社を評価できないのせめて損益計算書で本業の利益が出ているか確認しましょう。
まとめ
・ROAは効率性を図れる指標(ROEよりも優れてる
・本業以外の稼ぎが指標の上下をもたらすので決算の中身を要確認
・あくまでもスクリーニングとして活用する
・また、ROAが高くともその稼いだお金で今後何を行うかも調査する
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